ドキュメント GRAND SLAM 4


前編 遠かった決勝レース


第1章 3 weeks ago

いつもお世話になっているBRIGDESTONEの走行会でつくばサーキットにやって来た。春のレースで転倒して、修理後、6月に1回テストで走らせて以来、実に4ヶ月ぶりの走行である。ひょんな事から手に入れたPLAIN PPC-0055 マフラーを装着することになり、これに合わせてキャブレターのセッティングも少々変えた。
改造範囲の少ないSSC883マシンの場合は、これだけ長いブランクに、給排気の変更なんて話しになると、ほぼシェイクダウンに近い状況になる。オマケに転倒したのはサスペンションを変更した直後だった。ろくなセッティングもしていない状態でレースに臨まなければならなかったせいで、感触含めてデータはゼロだったし、修理後のテストランも悪天候で、データらしいデータは何一つとれていない。はやる気持ちを抑えながら、「今日はシェイクダウンテスト、今日はシェイクダウンテスト、無理は禁物、全開禁止、フルバンク禁止...」自分に言い聞かせながら、早朝の高速を、つくばへと車を走らせる。

6時にパドックに到着すると、いつものメンバーが集まり始める。11月のレースでデビューするルーキー兄&弟もやってくる。

比較的に余裕のあるタイムスケジュールだったので、マシンの各部をチェックしながら準備を始める。フロントフォークオイルを交換したので、ハンドルバーの取り付け位置を調整する。ん?ボルトが回らない。目一杯力を入れてまわそうとしても、今度は差し込んだレンチの方がねじれてしまいそうである。クランプの間に見えるボルト部分が曲ってしまっている。これじゃぁ回るものも回らない。途方に暮れている時に、腰痛番長が近寄ってきた。状況を見るやいなや代わりのステンレスボルトナットを2セット持ってきてくれ、二人掛かりで「ボルトへし折り作戦」にかかる。「何やってんだい?」カントクもやってくる。「いや誰か知らないけど目一杯締め込んでくれちゃった人が居てサ、仕方ないからこれから折るとこ...」「けぇ〜っ、ザマミロ、それ締めたのはオレサマでぃ!動くとあぶねぇから目一杯締めといてやったぇぃ!」相変わらずファンキーな人である...鉄製のクランプ部分は伸びて変形してしまっていて、新しいボルトナットを使ってももう締まって行かない。まぁ、片側2本のボルトの内一本はしっかり止まっているからいいか、今日はシェイクダウンテストだし、ニーグリップの基本に戻っの練習ってのも悪くない...

1本目の走行が始まる。なるべくハードブレーキングを避け、いつもより手前で減速を開始し、立ち上り重視のラインをトレースする。肩の力が抜けてか、マシンのコントロールが軽い。新しい給排気システムも好調だ。立ち上りから中間加速のツキが非常に良い。レブリミット付近りの伸びが無くなってしまったが、つくばのストレートは短いし、初速を乗せてきちっとシフトをして行ったら、周りのマシンと比べても特に遜色はなさそうだ。今日は全開禁止。6,000回転でギアを繋いで行く。
ピットサインは見てなかったが、周回を重ねて行く内に少しずつラップタイムが上がってくるのが解る。さっきまでが恐らく14〜15秒ペース。今はたぶん13秒第だろう...と思って始めてボードに目をやる。案の定13としか書いてない。「遅ぇゾ!」の意味である。「気にしないもんネぇ...」手伝ってくれるオレンジK始めとするクルー達には悪いが、心の中で軽くアカンベェ...

暫く13秒ペースで周回を重ねていると、コーナーでチャタリングが起き始めた。

残り10分を切った頃、ピットに入りフロントフォークの調整。再スタート。チャタは解消。2周ほど走ったらタイムは一気に11秒台まで詰った。「納得。コレハイケル...」心の中ではニヤニヤしながらパドックへ戻る。監督は不機嫌そうである。「ナニトロトロ走ってんだ?!」ってな顔である。こういう時はなるべく近寄らない方が良い。軽くマフラーのフィーリングとピットインの理由を説明し、着替えてサスペンションをもう少しいじってみる。リアタイヤを使い切っていない。もっと攻められる筈だ。これで11秒なら9秒台は狙える。誰にもそんなことは言わないけどね...だからもっと突っ込むとダンパーはこれくらいで、フロントはこうで、リアは...

2本目の走行。天気は上々で、路面温度もそこそこ良い状態のようだ。今度は始めっから攻めるつもりでコースイン。ウォームアップ周回の内になるべく多くのライダーを抜いてクリアラップが取れるようにしたい。2周ほどそんなことを続けて、タイムアタック開始。
???まがらねぇナ...どうにも13秒よりタイムが縮まらない。ブレーキ遅らせたり、色々試しては見るが、一向に効果無し。理由は解っていたが、言えないモンなぁ...色々言い訳考えながらのパドックへの足取りは重い...
監督に呼び止められない様にソソクサと帰り支度を始める。午後4時には会社に戻って会議に出席しなくてはならない。リーマンライダーは辛いのである...結局「イヤ、昼にサスのセッティング変えたのが裏目に出たらしくって、どうにも違うオートバイみたいに感じちゃって...スミマセン...」

Toysmile選手が声をかけてくれた。「見てたよ。なんか、疲れちゃってるネ...」アハハ、バレテマシタ。流石は選手権ライダー。しかし、体力不足はレースまでには如何ともし難い...歳クったなぁ、俺も...



第2章 A week before the Race

マフラーの変更で位置をずらさなければならなくなったオイルキャッチタンクの製作をCRAFTMANに依頼する。車体の下に吊下げていたタンクを、シート後方のカウルの中に移植するのだ。
レースは土曜日だ。いつもだったら、最悪前日の土曜日に作業ができるからいいや...てな事になるのに、今回はそれが出来ない。まぁ、クラフジのことだから、すぐに出来ちゃうだろう。あとはオイルとタイヤ交換すれば、レースウィークの整備は要らない。と算段を立てていた。

が、そこに立ちはだかったのが、Cool Breaker Custom Cycles Showである。ショウ用部品製作の追い込みと、自分の練習で、クラフジもスケジュールが目一杯。「作業を予定していた日までには加工出来そうも無い...」との申し訳無さそうな電話。
作戦変更だ、仕方ない。土曜日にPLAINでオイル交換だけを終えて、CRAFTMANにマシンを持込んで、現物合わせで加工してもらうことにした。それを木曜日までにPLAINに運んでもらい、レース前日の金曜日、会社を休んで残りの作業を終わらせることにしよう。変な会議の予定が入りません様に...イザとなったら奥の手だ、仮病でもなんでも使ってやれ!!

土曜日の早朝。世間は3連休の1日目。彼氏彼女に、家族連れ。浮かれる国道を一人マシンをトラックに乗せてPLAINへ。前日の夜更かしのせいでかなり辛かったが、ほぼ開店と同時に到着した。
こういう朝はカントクの「おっ?!、流石ライダー、気合入ってるネ!?」で迎えられるのが常である。

マシンと工具を降ろして、コーヒーで一服つけていると、カントクが満面の笑顔で近寄ってくる。
「お〜ぉう、くれ〜じ、おっはよ〜ぅ! いやぁ、今日はトラックで来てくれると思ったよぉ〜。助かったなぁ、え?オイ」
「???」
「いや、今日はCool Breakerの搬入でさぁ、積みきんなくて困ってたんだ。」
「−−−。」
「あん?オイル?んなもんテツにやらせりゃいいジャン!それよかよ、電源引くのにリール買ってこなきゃなんねぇんだ。行くぞ、付き合え。」
相変わらずファンキーな人である...
ったくぅ、誰だよ、レースの前の週にカスタムショウなんて組んだのはよー!
搬入を済ませて、マシンをCRAFTMANに持ち込んだのは、すっかり日も暮れた後だった。




第3章 Race Week

Day 1(月曜日)
祝日である。が、よりによって、年に1度の会社の倉庫の棚卸し。そう言えば、エントリーの受理書が来ない。ま、だいたいレースのエントリーは、3週間から1ヶ月前に締め切られる。オーガナイザーに、エントリーフォームにエントリーフィー(出場料)を添えて、現金書留で郵送する。1〜2週間前に、エントリーを受理した旨を通知する受理書と領収証、サーキットでの駐車場券が送られてくるシステムだ。レースはもう5日後に迫っている。ま、今日は郵便局休みだしな、明日には届くだろ。仕事は午前中に終了。ケイタイが鳴る。ハイハイ、解ってます。今日はCool Breakerの搬出である。

Day 2(火曜日)
それにしてもこの忙しさはなんだ?朝から電話は鳴り止まないし、会議はあるし...。とはいえ、エントリーは気になる。オーガナイザーに電話してみる。
「あのぉ、SSC883クラスのゼッケン21番ですが、エントリー受理されてるんでしょうか?」
「今、解るものが外出して居ないんで、調べており返しご連絡します。」
結局その日はそれっきりだった。

Day 3 (水曜日)
今日は若旦那ちゃん始め、チームメイトの何人かが練習走行に行っている筈である。パドックから色々噂話が入ってくる。色々繋ぎあわせると、オーガナイザー側のスタッフの退職等でかなり事務処理が混乱を来しており、エントリー受理書の発送もやっと昨日から始まったらしい。申し込みの遅かった雑誌関係者とか、業界の面々は、予選落ちをあんまり出したくないので断っているが、一応現時点でエントリー用紙を送っていて、何も連絡の入っていない人は大丈夫そうだ、とのこと。ま、一安心。知らない仲でもないので、あんまり私事で迷惑かけるのもどうかと思い、その日は電話せず。ま、家に帰ればきっと届いてるだろう。でも、業界関係者?引っ掛かるなぁ。俺も出らんなかったりすんのかなぁ...

練習の皆の調子は良かったらしい。くそっ!俺も走りてぇなぁ...でも休めねぇしなぁ...43歳のルーキー弟選手が絶好調らしい。
「ヤバイナ、ラストコーナーの曲がり方、教えてやんなきゃ良かった...。抜かれでもしたらもう何言われっか分かったもんじゃねぇ。抜かれちゃったらわざと転ぶか、ぶっつけてでも止めるかのどっちかだな...」なんて恐ろしいこと考えながら焦る。仕事は相変わらずでイライラは募る一方だ。
今回はなんで物事うまく転がんねぇかなぁ、なんか全部がバラバラに分解状態で、空回りして全然前に進まない。とにかく全ての流れが自分の方に向いて来ない。

Day4 (木曜日)
受理書は届いていなかった...「いよいよダメか...?」朝一番でオーガナイザーに電話してみる。聞き慣れない女性の声だ。
「ハイ?えぇ883クラスの21番ですね、大丈夫です。ルーキー弟選手ですね。」
「え?21番は固定ゼッケンで、毎回くれ〜じの筈ですが???」
「えっ?アララ、変ねぇ...じゃぁチョット解る者に聞いて折り返します。」
「はい、ヨロシクお願いします!」
もう祈るような気分である。

昼前にもう一度電話。「午後は外出で...」なんていわれた日にはたまらない。今度はどうやら社長のようだ。
「はぁ、いぇ、ちょっと今調整を、ハイ。で、基本的には大丈夫なんですが、もう少しお時間を...」
???一体どういう事だ?断るなら断るでハッキリしてもらわないと、明日会社休むかどうかの瀬戸際なんだけどなぁ...レース出られないんだったらなるべく休みたくないし...

午後一番でカントクから電話。
「今よ、BS(Bridgestone)からエントリーリスト送ってもらったんだけどサ、なぁんでオマエの名前が載ってない訳?」
「は?」
「ダカラヨ、オマエまた金払ってないとか、忘れてるとかじゃないの??」
おいおい、頼むぜぇ〜、現金書留で送った控えもここにあるよ〜...
「今調整中なんだってさぁ、良くわかんないけど...やっぱ業界関係者ってことでダメなんかなぁ...も少ししたらまた確認してみます。」
それにしても「基本的には大丈夫」って一言が気になるなぁ...

3時に国土交通省に呼び出されている。もう出掛けなきゃ...
霞ヶ関に向かうタクシーの中、ケイタイが鳴る。腰痛番長だ。
「受理書来たよ。オマエサンの方はどうだい?」
「まだ」
「何?」
「だからまだだって...(一応今日の経緯を説明する)」
「そうか。」
「ゼッケン21はルーキー弟にとられたらしい...」
「ほんとか。」
「マイッちゃうよ...どうなってんだろ?」
「望みがねぇ訳でもないんだロ?」
「だと良いけど...」
どうにも煮え切らないまま、時間だけが過ぎて行く。
仕事は待ってくれない。

午後7時。ヤバイ!もうこんな時間!もう閉まっちゃったかなぁ?慌てて電話。
「あ〜ぁ、くれ〜じサン、ご連絡差し上げようと思ってたトコロなんですよ。大丈夫です。ただ、ゼッケンをもう他の方にご案内してしまったんで、くれ〜じサンには申し訳ないんですが、空いてる番号ならお好きなのを選んでいただいて構わないんで...」
イイヨイイヨ!出られりゃそれで!かくしてゼッケン77番マシンは誕生した。

間髪入れずにクラフジから電話。「くれ〜じサンのキャッチタンク上がってますよぉ。で、悪いんですけどぉ、今日中にPLAINさんに届けるって約束が...」
イイッテイイッテ!明日朝一でとり行くから!何時からやってんの?9時?OK!いくら?OK!耳揃えて払っちゃうから!!

バラバラだった歯車が、やっと1つづつ噛み合い、全ての物が前に進み始めた。

レース2日前の出来事である。




第4章 The Day Before(決戦前夜)

朝9時キッカリにCRAFTMANでマシンを受け取り、PLAINで整備だ。
メニューはタイヤ交換、オイルキャッチタンクの配管、そして点検とワイヤリング。

レースでは、コース上へのオイルの飛散防止に、オイルキャッチタンクの装着が義務づけられている。要は、市販車では通常大気開放されている様なオイルの飛沫の出口に管を配して、専用のタンクに接続しておく訳である。全開走行が続く状態では、エンジンやトランスミッションの内圧が上がり、思わぬ時にオイルが吹き出したりすることがある。これに乗っかると間違いなく転ぶ。ライダーは受け身をとる間もなく路面に叩き付けられる。結構な怪我を覚悟しなければならない。時には自分のマシンから出たオイルがタイヤにかかって転倒!なんて悲劇も起る。自分1人ならまだ良いが、他人と絡んだりするとシャレにならない...ハーレーは重い。乗っかられただけで骨の1本や2本、安々と砕いてくれる。
また、車両各部のネジに穴を空け、ワイヤーで緩むのと反対方向に引っ張って固定する、「ワイヤリング」と言って、部品の脱落防止を施さなければならない。結構面倒な作業で、時間もかかるが、マシンのあらゆる部分を一つ一つ自分の目で確認しながら仕上げて行く、言わば出走前の最後の儀式みたいなもんで、そうしている内にだんだん気合いも入って来ようってもんである。

PLAINも朝から慌しい。関西テレビが取材で撮影に来てる。カメラの前を颯爽と走り去るシーンを撮影するファイト一発Wナベ氏を尻目に、綿のツナギをオイルだらけにしながらの作業が黙々と続く。
TEAM-PLAINのタイヤ交換は、タイヤチェンジャーを使用しない。タイヤレバーの手作業で、自分の使うタイヤに語り掛けながら丁寧に組むのが掟である。もう間もなく冬だと言うのに、汗だくになる。

そうこうする内に、練習走行に行ってる腰痛番長から情報が入ってくる。
昨日のドタバタの経緯も明らかになった。詳しくは腰痛番長のレポートに譲るとして、練習を走れない自分としては、キチンと100%明日の準備を完了するしかない。今日走れるライダー達は、きっと受付と車検も済ませて帰ってくる筈だ。これに対して当日組は、朝のまだ薄暗い内の慌しい時間に、ライダー受付に並び、すぐ車検場に並ばなくてはならない。タイヤウォーマーを捲く時間も必然的に短くなる。充分に暖まっていないタイヤで、路面温度の低い11月の、早朝8時25分からの予選に挑まなければならない訳で、既にこの時点でコンマ何秒かを失ってしまうのだ。これ以上の不利な要素は極力避けたい。オマケに今回は、エントリーのゴタゴタで、受理書の受け取りも受付で済まさなければならない。時間の無駄は極力排しなければならない。

前のレースで転倒を喫して、駄目になったヘルメットを新調した。カントクが手作業で、まるでルーキー用のような真っ白なヘルメットにチェッカーフラッグを施してくれた。

組み上がったマシンに3週間ぶりに火を入れる。静かに回り出したエンジンは、暖まるとともにアイドル回転数を上げて行く。空ぶかしを数回。快調に吹け上がる。

やっとここまで来たか...例によって全然練習できず仕舞いだったが、明日はもうレースだ。整備不良も、不運も、ミスも、言い訳も...何もかもがタイムと順位に跳ね返って目前に突付けられる。悩んだって仕方ない。全力で走るだけ...。スロットルを軽くスナップ操作する手にも、自然と力が入る...。ドタバタ劇の後の割には静かな気持ちで決勝前夜を迎えていた。

ホームコースつくばでは、初めてのオープンクラスとの混走レースである。勿論賞典は、別々にもつくが、1つのレースの結果としては、「総合○位、クラス○位。」という具合の記録となる。

オープンのマシンは、排気量が最低でも1200cc。レギュレーションで排気量の変更を認められていない俺達883とは、単純に最低約320cc差。最高出力もストックのカタログスペック上で既に883ccの38.9kwに対し、1200ccの45kwと、6.1kwの差がある。Buellならストック状態でも更に上の65kwである。
オープンクラスは改造無制限。中には100馬力以上を叩き出すマシンも出走してくる。ブレーキやフロントフォークの変更も認められている。パワー、シャーシ共に明らかに高性能なマシンにとコース上で渡り合う訳だ。
自ずと加速・減速のポイントなど、マシンの操作のタイミングが違ってくる訳だが、これが結構危ない。例えば、オープン マシンの場合、最終コーナー手前の減速は、恐らくコーナー手前150〜100m看板付近を目安にしている筈だ。883の場合は最高速が遅いので、コーナー手前100mではまだまだ全開である。オープンクラスの遅いライダーと絡むと、ストレートでエライ勢いで抜いて行ったマシンが、今度は急にブレーキをかけて目の前に迫ってくる、なんて事が全てのコーナーで起きてしまう。なるべくコーナーでスピードを落とさないで我慢する883クラスの走りの場合、うまくスピードを乗せたままコーナーにアプローチしても、急に目の前をオープンクラスのライダーに塞がれ、必要以上の減速を迫られて、結果コーナー出口の加速が鈍ってしまう。悪循環の繰り返しでタイムは必然的に悪くなる。
オープン クラスのトップクラスのライダー達は、つくばサーキットを1周1分5〜7秒台で回ってくる。最も遅い人で1分15秒程度。これが883クラスの場合はトップが1分8〜10秒台。15秒を切ると結構速い部類に入る。どのくらいかって言うと、峠で出会うクレージーな人々レベルかな。レース観ててアイツは遅いのどうの言われている人達と峠で出遭ったとしよう。ほぼ皆さんこういう人達にいともアッサリとチギられてしまうだろう...サーキットって言う場所は、やっぱり実際に走ってみた人にしか語れないものだと思う。
タイムに話しを戻そう。883クラスは遅いライダーで18〜20秒と言ったところか。中には初参戦で、23〜25秒なんて人も居るが、大抵はものの数レース走れば20秒を切って来るので、まぁ、883ccで20秒がほぼボーダーと言ったところか...。

混走レースである。たった全長2,070mのコースを、1分5秒で走る人と、1分25秒で走る人の混走!! 考えても見ていただきたい。5秒台と20秒台との平均時速差でも25km/h位の差がある。高速道路での時速25キロ差を思い出してもらいたい。結構なスピード差である。これが巾が広くても15m程度しかないコース上のほぼ全域で起きている訳だ。これが危険でない訳が無い。恐らく何人かの常連達は、混走が発表されたと同時に今回のレース参戦を取りやめたに違いない...

レースは間違いなく荒れる。一人、PLAINのピットでボルトにワイヤーを掛けながら、練習不足の12〜3秒でナントカ表彰台の末席に滑り込む方法を考えていた...。