妄想
父親からショベルを手に入れた。
ハーレーダビッドソン(以下HD)を知らない人にこう言うと、みな一様に小首をかしげる。
「穴を掘るヤツ?」
それはスコップだ…ショベルとも言うけど。工事現場にあるでかくてうるさいキャタピラつきの重機でもない。今の前の前のエンジンを搭載したHDって事だ。1980年製だ。御歳22歳の(バイクとしては)ご老体だ。
こう説明すると、こんな事をいう不埒者がいる。
「そんなオンボロなんでまた」
アンティークという言葉を知らんのか。一流の品物は年月によって磨かれ、価値が上がるのだ。HDは言うまでも無く超一流ブランド。車で言うとランボルギーニ、時計ではロレックス、携帯電話ではドコモだ。
「最後の喩えはどうでしょう」(以下、台詞は良心の声)
…その意見には賛同するが、とにかくショベルと言えばHD好きなら思わずオッとうなる(…多分)エンジンなのだ。造型の美しさと性能とテイストのバランスが取れた傑作エンジンなのだ。そうなのだ。
これ以上古くなると、エンジンの美しさとテイストと稀少さと注目度と優越感と値段…結構いっぱいあるな…は上がるが性能が悪すぎるし、エンジンを自分で開けれるくらいの知識と道具と場所が揃ってないと維持は難しい。まあ、ショベルでもそれくらい欲しいところだが。
とにかく、とても良いものなのだ。絶対そうだ。そうだと信じている。
「でも、格好悪いですね」
そうだ。それが問題だ。
エンジンの形は格好良い。だがそれ以外が最悪。フレームは錆々でタンクは塗装が剥がれている。それに何より全体の形が格好悪い。
そこで私はカスタムすることを考えた。それも生半可なカスタムではなく、エンジンとフレーム以外は総取替えという大カスタムを施す。
まずはフロントフォーク。これにはマスターオブテクノロジーこと(この前口上もいい加減シツコイなぁ)ウメシマ氏の提案で×××○○○△△(ヒント:正立の国産スーパースポーツ)のフロントフォークを使用。三又はワンオフで制作。
次にフレーム。シートレールをぶった切り、リヤサス取り付け位置をレイクさせたシートレールを新たに作成。そしてモールド処理を施し塗装。
でもって外装。タンクはワンオフで細く長〜い物を作成。フロントフェンダーはBIMOTAのDB1についていたものを真似て作成。リヤも同じく一品物。ライトはBuellXB9Rのヘッドライトを流用したい。そんで、Buell風の格好いいミニカウルをワンオフで制作するのだ。
その他、エンジンはガンコート塗装、ブレーキはベルリンガーの4Dシステム、シートとマフラーとオイルタンクとスイングアームはワンオフ作成など、一品物、高級品のオンパレードだ。どうだ凄いだろう。(詳細は一国にあるデザイン画参照)
「確かに凄いですねぇ」
だろう?完成の暁には“こ、こ、これってショベル?”って言われること間違いないぜ。全体のイメージはカマキリだ。名前も決まっているぞ。マンティス号だ。これで街を流してジャメリカン(日本製アメリカン)に乗っている若者共を赤面させてやるぜ。おっと、別にジャメリカンを否定しているわけじゃあないよ。赤面するのは彼らが勝手にそうするのさ。
「妄想はいいよ。で、このカスタムいったい幾らかかるの」
まさしくそれが最大の問題点だ。上記のカスタムすべてやるとトヨタが誇る高級車セルシオが買えてしまうかもしれない。
「そんなにお金貯めてるの?」
あいにく宵越しの金は持たない主義だ。主義というか性癖だ。
「どうするの?」
だからそれが最大の問題点だと言っている。
とりあえず、お金持ちのお嬢様が…待てよ、お金持ってないお嬢様はいないか。金持ちの娘だからお嬢様と言うわけだし。考えてみたら、”お金持ちのお嬢様”というのは”あったかいお湯”とか”頭痛が痛い”などと同じくらい変な日本語かも…ええと、何だっけ。ああ、お嬢様だ。そのお嬢様が突然私を好きになったりしても良いように身軽な身を維持している。ちなみに私の中ではお嬢様と既に新婚3ヶ月で、ベッドで「クララが勃った!」と言われている最中だ。ついさっきまでは「駄目よハイジ勃てないわ」と言って…
「ベッドの話、問題点と関係ないじゃない」
うむむ、確かに。私の妄想の話は置いておこう。
後は、totoとか宝くじとか買ってるぞ。
「ようは、何も考えていないし、何も行動していないと」
もうちょっと言い方があるだろう。無理して一攫千金を狙いに行って、空振り三振する可能性もある。もしかしたらダブルプレーとか最悪トリプルプレーもある。じっくり球を見てチャンスを待っているのだ。手を出さなくても、塁に出る手段にはフォアボールというものもあるのだし。
「他力本願だね」
たしかに。でも他には未来の自分を信頼できる真の男のみ実行できる7年ローンとか、トルマリンパワーに頼るとか…あ、お金持ちの人から事故られるっていうのはどうだろう。
「何それ?」
…ショベルだけに(オカマを)掘られる。
「…………お後がよろしいようで…」
おまけ:福島ツーリング後編。
がけに落ちたヒラハラくんをみんなで助けました。ぼくは助けませんでした。まじょおらさんもさつえいしただけで助けませんでした。そのあとすぐりょかんに着きました。えんかいやりました。みんなうたてました。おわたあとねました。つぎの日あめのなかよこはままでかえりました。さむかたです。
おわり。