2003年3月13日

BRIDGESTONE走行会

 

私はこの日を待ち望んでいた。

この日のために、BUELL XB9S Lightningを買ったようなものである。
鶴見界隈では「クラブ19秒台」というのがある。
筑波サーキットを1分19秒台で走る人たちの集まりで、誰もがこの倶楽部にあこがれて、20秒をきろうとカスタムや練習をしている。(本当?)
つまり、簡単に言えば素人集団だ。


現在この倶楽部会員は、えれっく齋藤・マッツーそして私の3名である。この3名だけが20秒壁を越えて、19秒台で走れるのである。
この倶楽部に最も近い男として、筆頭に挙げられるのが銀スポ森田氏。
オーリンズを前後で装着し、他社の走行会でひそかに練習をしている。実績では20秒フラットくらいまで出ている。
唯一のネックだったノーマルステップが一国オリジナル・チョットバックステップに交換してからは、かなりの好感触と本人は言っていた。

そして、第二の男は初参加ながら、昨年のMFJ OFFROAD BIKE GAMESで4位の実力を持つアポロン様。
彼も、長年愛したローライダー(エクボ号)を手放し、倶楽部19秒台に入会するためにBUELL S1に乗り換えて、サーキットに挑むことにした。
箱根や伊豆では無類の力を発揮する。自他ともに認めるON/OFF両刀使い、全能の神である。
アポロン様の前評判は高く、タマル氏も「アポロン様なら20秒は切れるでしょう。いや 15秒位じゃないかな」などともてはやされ、かなりのプレッシャーを感じていたようだ。
日夜ネットで筑波サーキット攻略に関する情報を集め、夜毎攻略情報を読みながら眠りに就く日が続いていると聞く。

第三の男として、その潜在能力をくれ〜じも認めているタマル2世こと長谷川氏。
GSX隼からXB9Rに乗り換えて鼻息が荒い。椿ラインではひざを擦って走るというイケイケのライダーだが、先日の伊豆での練習でくれ〜じのFXDXの速さにびっくりし、腰痛番長からは「膝をする前にやることがあるんじゃないか?」などとも言われショックを受けていた。これらのことで彼は奮起し、倶楽部19秒どころか、15秒を目指すと豪語してこの日に挑んでいる。

これらの3名が有力候補だが、すでに倶楽部19秒台の会員になっているわれわれは、次なるタイムに挑みステップアップを図らなければならない。


私はスポーツスターをフルカスタムすることにした。
Fuell in Flame にOil in SwingArm、キャスターアングルを21度とし、短いホイールベース。
そしてなんと言っても乾燥重量175kg(スポより60kgも軽い)。
結果、全部品交換をした結果、XB9Sと呼ばれるようになったのである。
これで、さらに上のタイムを狙う準備ができたのである。

一方、えれっく齋藤も負けてはいない。
ボルトをアルミに変えて、軽量化をはかり、静かにアンダー19秒を狙っている。


そのほかの参加者では、本来あまり速くないオレンジKは走行前にM総監督より、素敵なアドバイスがあった。
「そんなにがんばって走らなくていいから,マイペースで楽しんで走ってきなさい。楽しいのが一番。

ねぇ〜幸子さん ?」
この言葉ですっかりプレッシャーから解き放たれ、タイムとは関係なく、楽しい走行会を楽しんでいた。これが本来のBS走行会でることを感じた。
しかし、先週納車されたばかりのNewXR250が原因不明の故障で、エンジンがかからなくなったらしく、かなり落ち込んでいた。
週末には、一国レッカーが出動するらしい。

そんなこんなで、それぞれの目標に向かって、この日を迎えたのである。
われわれの素人クラスの前にレーサークラスの方々が走行を開始した。
今回注目してみたかったのが、○レインの田辺店長である。
DOVERのモンスターエボリューションクラスでGSX1100Sカタナで優勝もしている実力者である。
その人が、XB9Rをどう扱うのか?
これに注目してみてみた。

明らかに周りとは違う速いペースで周回を重ねていたら、背後から同じようにハイペースのライダーが迫ってきていた。
この人はH口選手である。
SSC OPENクラスのチャンピオンである。
二人は元チームメイトで、今回は同じXB9R。

燃えないわけがない。

予想通りにこの二人のバトルはSSC OPENでは見られないほど白熱していた。
SSC OPENクラスではH口選手の独断場で誰も寄せ付けない。
もし、ここで田辺店長が仮に「差す」ことがあれば、先方にかなりの衝撃を与えることになる。

「ここに ○レイン有り」

を示すには絶好のチャンスである。
しかし、H口選手のマシンは、前後オーリンズにBrenbo、チェーンドライブにしてファイナルも変えてある本格的なレーサーである。
一方、田辺店長はノーマル+市販のレーシングキットという何ともシンプルなマシンでどこまで迫れるか?

結果、同等のタイムで周回していた。手元の計測では2台とも5秒台に入っていた。
そして、私にとって収穫だったのは、この2台は最終コーナーでの見事なダブルクリッピング走行を見ることができたことだ。

筑波サーキットの最終コーナーは最初が100Rで出口は90Rの複合コーナーになっている。
普通に走ると、大きなひとつのコーナーに見えるが、実は2つのコーナーがつながっているのである。
これは、走る人なら誰でも知っていることだが、一般の人は、これをひとつの大きなコーナーと捕らえて、クリッピングポイントは1箇所にしているケースが少なくない。
われわれ素人クラスにはクリッピングポイントさえ関係なく、終始コースの中心付近を走るのが関の山である。
これを見て、今日の自分のテーマは最終コーナーのダブルクリップと決めた。

 

第一回目の走行(HEAT 1)

いつものように先導車が3周ほど走り、その後フリー走行となる。
この日のために4kgほど減量してつなぎを着たが、やはりきつい。
もう3kgほど落とさなきゃだめだな。などと考えながら走っていると、メインスタンドで田辺店長がPITサインを出しているのが見えた。

どうやら、後ろにはオレンジKがいるんだななどと考えていたら、周りのペースがあがった。
第一コーナーを過ぎてS字あたりからどんどん抜かれ始めた。
「あれっ? もうフリーなの?」
拍子抜けの感じだったが、一本目は始めてのXB9Sとラジアルタイヤなので、様子見モードとした。
そしてその直後第一ヘヤピンのコース上に倒れているマシンを発見した。
イエローフラッグがバタバタと振られている。

「誰だ? しょっぱなからこけている奴は?」
すると、タマル2世の期待の新人長谷川氏だった。
「気合+新品タイヤ=しょっぱな転倒」
考えてみれば、十分ありえる方程式だった。もう少し事前にアドバイスしてあげれば防げたのかもしれないと後悔した。
そのときの状況を後で聞くと、フリー走行となった瞬間、前を走るアポロン様をいきなりパスして、追いつかれないために気合を入れて逃げに入った。アポロン様は大人の走りで別に追いかけた訳でもないのに、架空のライバルにやられたということになる。

とにかく、本人は立ち上がってバイクを起こそうとしていたので、体は大丈夫であることは確認できた。
第二ヘヤピンに差し掛かったときに、イエローフラッグがレッドフラッグに代わっていた。
会えなくPITイン。数分待った後に再スタートとなるも、すぐに終わってしまった。

我々ナンバー付車両の走行時間は15分なので、トラブルがあると時間はすぐになくなってしまうのである。しかし、個人的には最初の様子見だったので、それはそれで良しとした。

 

運ばれてきた長谷川氏のXB9Rは左側が無くなっていた。
ハンドルは曲がり、ステップやシフトレバーは消えていた。
そして、みんなの注目だったのはFUELL IN TANKである。
しかし、これもフレームカバーのおかげで、カバーが削れた程度で収まっていた。
(これは正解だったようだ。)

一国ネットワークで、消えてしまった予備パーツを調達して、何事も無かったように、2回目の走行に参加できたので、それはそれでよかった。

 

2回目の走行(HEAT2)

今回が勝負と思っていた。
一回目の走行で感触はつかんだ。
最終コーナーのダブルクリップもOKだ。
あとは、ほかの固まったライダー達と、どう離れて走れるか?
ここだけに絞られた。
先導付の走行が始まり、フリーになった瞬間、ペースダウンして後ろのライダーたちを前に行かせて間隔を取った。
豊田選手が選手権の予選でよく見せる手法である。
前との間隔を空けて、一気にタイムアタックをする。

これしかない。
1分40秒台のタイムでのんびり走っていると、後ろから来るライダーを確認した。

「そろそろだな」

第二ヘヤピンを立ち上がってアクセルを全開にして、最終コーナーへ進入した。
「うぉ〜いい感じだ。 」

スポよりも速く感じる。

そしてメインスタンド前に戻ってきて、計測開始。タイムアタックに入った。

第一コーナー、ややブレーキが早かったかな?
S字を抜け、第一ヘヤピン。
やはり失速気味である。
しかし、全体的には上出来で周回できた。
「これはかなりいいタイムだぞ!」
期待してP-LAPに目をやると、20秒***。

「何?これで20秒? そんなもんか?」

そして次の周回ではさらに良い出来で戻ってきた。

「大変だ!これは15秒台もあるかもしれない。」

と期待しつつ、表示されたタイムを見ると19秒***

「何? これでもそんなものか?」

ショックだった。

これ以上は自力ではどうしようもない。

何かが違うのだ。どこが悪いのか?は自分ではわからない。
気分は田辺選手並みの走りだが、タイム差は10秒以上ある。

「どうやると 10秒以上もの差が出るの?」

落ち込みながらも頑張って走っていると、私を見つけてPITから進入してくる梅ちゃんを見つけた。

そういえば、私にラインを教えてくれるといっていたが、待っててくれたのか。

気合を入れて、走った。

おそらく背後からその走りを分析してくれているのだろう。1〜2周過ぎて、第一コーナーの進入で、今度は梅ちゃんが前に出た。

     POINT1 すべてのコーナーへの進入速度(突っ込み)が全然違う

S字から第一ヘヤピン。

     POINT2 ラインが違う

梅ちゃんと同じラインを走ろうとしても、膨らんでしまう。

     POINT3 寝かしこみが足りない。

CXへの進入・切り替えし

     POINT4 ラインも速度も違う

CX立ち上がり〜第二ヘヤピンへの進入

     POINT4 ここでも体を伏せて全開をくれてやる。

第二ヘヤピン〜バックストレート〜最終コーナー〜メインスタンド

このあたりは突っ込み以外はまずまずである。

 

そう考えると、すべてのコーナーでこれほど違うのだから、10秒 20秒は違って当たり前だなと感じた。

終わってみて、P-LAPに記録されているタイムを見てみると、BESTが18秒786.

かろうじてスポーツスターでの自己BESTを上回ったが、可能性を残した走行となった。

3本目(HEAT3)

今回の3本目はフリー走行になった瞬間、まず第一ヘヤピンでバイクが寝ている。
「誰だ?Part2」

今回はスポだ。

そして、赤・黄のフラッグが振られた。
また中断である。
ちょうど2本目で力を使い切っていたので、ちょうど良いかな?などと思いながら、のんびりと第二ヘヤピンに行くと、今度は銀スポがコース上に寝ている。ゴールドのオーリンズのフロントサスですぐにそれはわかった。
ライダーはひざを落とし、首を垂れている。
マッツーが転倒したときのように、手を振ったり、バイクを起こして走りだすという雰囲気はまったくなかった。

「やっちまったな!」

と、わかった。

赤旗でPITに戻され、2台の転倒車の撤去で手間取り、次に走り出すときには、残り時間がわずかとなっていた。

それでも、残された少ないチャンスでタイムを伸ばそうと再スタートし、最終コーナーを勢い良く立ち上がり、計測開始。

第一コーナーへいつものようにドンくさく進入すると、インから稲妻のように抜けていくライダーがいた。

XB9Rに乗る小島選手だ。純白のつなぎですぐにそれがわかった。

なんとも速い。

「よし、これは良いペースメーカーが現れた。 シメシメ。」

何とか食いついて、引っ張ってもらおうと思ったが、勢いよく第一ヘヤピンに進入したら、自分自身のオーバースピードだった。

「やばい!」

あわててブレーキングを試みるとすんなり外側に大きく膨らんだが、なんでもなかった。

うれしいやら情けないやら、所詮すぐに止まれるスピードでしか走っていないことに気づいた。

3本目はすぐに終わった。正味3本くらいしか走れなかったと思う。

 

すべてが終わり、XB9Sのポテンシャルを思い知らされたが、いかにコーナーリングが重要かを思い知らされた。

筑波サーキットには10個のコーナーがあり、各コーナーで1秒づつ違えばそれで10秒の差になるのである。

くれ〜じが883でのタイムと9秒で走るので、私とは10秒の差があるのは納得ができた。

 

静岡から前泊できているX1のモッツー(ライトニング三兄弟の次男)の尽力で、一般クラスのすべてのタイムが表にまとめられていた。

非常に大きな仕事をした。

当サイトから感謝状は贈らないが、感謝の意を表したい。

一時期「ゾウさんモッツー」と呼ばれた時期もあったが、今では身も心もピュアである。プアではない。

そんな彼の尽力でRESULTは出来上がった。

それを見て、わが目を疑った。

私のところには「2位」と書かれていたからだ。

「何で1位じゃないの?18秒786だゾ 俺は!」

なんかのペナルティー? 走行会なのに、、。

そしてそのRESULTを見てみると、Team○レインからエントリーしている。OLDBOYのハンドルネームを持つ清水さんが18秒777というタイムだった。

その差たったの0.009秒。

今回はお互いにP−LAPなので、正確に劇的なタイム差である。

思い起こせば、

第一回目はえれっく齋藤に0.65差で2位

第二回目はマッツーに0.08秒差で2位

そして今回は清水さんに0.009秒差で2位。

三度僅差で2位。つまり万年2位である。

これはさすがにショックである。

優勝してれば、ニュートンでみんなに塩ハラミを招待しようと思っていたのに、、、。

次回へ期待だ。

 

写真集

RESULT